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風邪、胃腸炎、コロナウイルス感染症(疑い)などの受診前連絡のお願い
- 2020年3月8日
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3月6日からコロナウイルスのPCR検査が保険適応となりました。検査件数が増えることが期待されますが、すべての医療機関で受けられるようになるわけではありません。当然当院でもPCR検査は行えません。今後は帰国者・接触者外来が設置された医療機関以外にも、入り口も分離し、一般外来と隔離外来が設置可能な隔離感染防止対策が可能な病院でも検査が可能になっていくと考えます。検体の採取においても院内感染のリスクもあるため当然予防着などの十分な措置が必要です。小児科などでは隔離外来を設置しているところも多いですが、一般のクリニックではそこまでの対応は難しいと言わざるを得ません。現在帰国者・接触者外来のある病院は公開されていませんが、隔離外来の設置が可能な病院が体制がとれれば公開されていくのではないでしょうか。それまでは救急外来を飛び込みで受診するようなことは控えましょう(体調が急に悪化した場合にも必ず電話で相談するようにしてください)。
現在も保健所の帰国者・接触者相談センターに相談するとかかりつけ医、近くの医療機関をまずは受診するように指示されます。本来呼吸器内科外来が望ましいのかもしれませんが、当院を受診される患者さんもいらっしゃいます。事前にご連絡をいただける方、隔離外来の有無を確認された上で隔離外来のある医療機関を受診された方もいらっしゃる一方で、連絡なく来院される方もいらっしゃいます。
その際院内感染のリスクも考慮し、他の患者さんと分離して待機していただきますが、スペースに限りがあるため、他の患者さんを対応中ですぐに対応が難しい場合は他院受診をお勧めすることもあります。また車内での待機(特にマスクを着用されていない方、可能な限りマスク着用をお願いします)や診療時間の変更をお願いする場合もあります。必ず事前連絡をお願いします。また来院される際はお一人ではなく、可能ならば付き添いの方がいらっしゃると事務手続きなどの流れがスムースになります。
コロナウイルス感染と風邪や胃腸炎などの鑑別が困難な現状では、発熱、咳、咽頭痛、下痢などの症状のある方は直接来院せず、まずは電話でのご相談をお願いします。特にコロナウイルス感染を心配されている方は安易にクリニックなどの受診は避け、発熱外来、隔離外来が可能な医療機関の受診をお勧めします。
クリニックではコロナウイルスの検査は出来ません。発熱などの症状がある場合はインフルエンザ、溶連菌などを迅速キットで検査は可能です、しかし検査における検体採取自体が検査者への感染のリスクとなるため安易に施行することもままなりません、北海道でインフルエンザ迅速検査施行した医師が新型コロナウイルスに感染したことを受けて、11日日本医師会は感染予防対策が十分でない医療機関ではインフルエンザ迅速検査を控え、症状などからインフルエンザ感染を判断するようにとの指針が示されました(隔離外来では予防着、ゴーグル、マスクなど十分な対応のうえ検査を施行しています)。実際は症状からの判断は難しいと思いますが高熱を伴う場合はインフルエンザと考え、抗ウイルス薬の投与が行われると考えます。しかし抗ウイルス薬は必ずしも必要ではなく、投与により解熱が1~2日早くなると言われてます。つまり37度台の発熱ならば必ずしも投与の適応にはなりません。発症後48時間経過していた場合も抗ウイルス薬の効果はあまり期待できないと言われています。今後感染が拡大した場合、風邪症状も含め、軽症者では自宅療養が原則になると考えます。平時であれば対処療法的に解熱剤や咳止めを処方しますが、アセトアミノフェンなどの解熱剤(イブプロフェンはインフルエンザ同様、コロナウイルス感染の症状を悪化させる可能性が示唆されているようですので注意が必要です:3月17日付)やコデインなどの咳止めはドラッグストアで購入できますし、市販の風邪薬にも含まれています。発熱は体温を上げてウイルスを抑制しようとする働きですから、高熱でなければ必ずしも解熱剤を連用する必要はありません。咳止めも痰の排出を抑えてしまうというデメリットもあります。十分な休養としっかり水分補給をすることが大切です。当然ウイルス感染であれば抗生剤は無効です。
発熱がなく、咳などが長く続くときは咳喘息などの可能性もあります。時には胸部レントゲン検査を行うこともあります(初期のコロナウイルス肺炎ではCT検査が有用と言われていますね)。治療として吸入ステロイド薬を使用します。コロナウイルス肺炎にも特定の吸入ステロイド薬が有効であったとの報告もあるようですが、感染の遷延化のリスクもあるため注意が必要です。その際は呼吸器内科などの専門外来の受診をお勧めします。それでも風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上持続する場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合は保健所の帰国者・接触者相談センターに相談してみてください。まずは近くの医療機関受診をと指示された場合は隔離外来が可能な医療機関の受診をご検討ください。また一度クリニックなどを受診した患者さんで症状改善しない場合は帰国者・接触者相談センターに相談してください。そこで最初に受診した医療機関への再受診を指示された場合は直接受診せず、電話での相談をしてください。
クリニックでは完全な隔離は困難ですし、どの医療機関も同じかもしれませんが予防着やマスク、消毒用アルコールも不足しています。そういった中でもクラスター、院内感染を防止することがクリニックとして最優先と考えています。もしクリニックでコロナウイルス感染を認めた場合、状況により14日間診療休止の措置がとられることも想定されます。そうなれば通院されている患者さん方への一般診療に支障を来たします。多くのクリニックが診療休止となれば、武漢のように隔離外来へ患者さんが殺到して起きる医療崩壊とは別のかたちで、医療が崩壊しかねません。
コロナウイルス感染の8割は軽症者であり、エボラウイルスのように恐れる必要はありません。如何に高齢者への感染を防止し、重症者を出さないという点で院内感染は防止しなければなりません。皆様には現在のクリニックの現状をご理解いただき、院内感染防止への協力をお願い致します。最後に今後感染が拡大した場合、電話再診による処方箋発行が有用となりますが電話回線の問題など現在対応を検討中です。現時点では長期処方での対応で可能と考えております。ご高齢者に関してはご家族が来院されてご本人の状況を確認させていただいたうえで処方し内服を継続しいただくこともあります。いずれにせよ体制が取れ次第ホームページにて告知したいと思います。